俺には耐えられない

地元で公開された「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
を鑑賞しましたので、本日はこの作品をレビューします!

ボストンのアパートで便利屋として暮らすリーは、腕は確か
だが無愛想で喧嘩っ早いという、難のある性格の持ち主。
そんな彼の元に届いたある一報とは、かねてから心臓に
難病を患っていた兄・ジョーがついに亡くなったことだった。
葬儀の段取り、そして忘れ形見である息子・パトリックの
処遇を巡って古巣マンチェスターへ帰郷するリーだったが、
そこは彼にとっては忌まわしい過去によって呪われた
土地だった…というのがおおまかなあらすじ。

第89回アカデミー脚本賞受賞に並び、本作の主演である
ケイシー・アフレックが、兄のベンでも現在なし得ていない
主演男優賞を獲得し大きな話題を呼んだ本作品は、
孤独な男に秘められた過去から現在の悲惨な境遇を
浮き彫りにした上で、未来への展望を描いたドラマ。

オープニング、ボロアパートに文句を垂れる住人たちが
その合間にやれ親戚が来るだの、やれ誰が結婚する
だの口々に情報が並べ立てられ、これが物語の糸口に
なるかと思いきや、個人情報ダダ漏らし=まるで人間と
扱ってもらえていない存在の便利屋こそ実は本作の
主人公というミスリードが面白く、物語として発展性の
ありそうな要素が日常のそこかしこに落ちているにも
関わらず、所詮赤の他人同士が深く関わることなど
ないのだというシニカルな皮肉や風刺も感じさせます。

そして兄の死を聞かされ、リーが古巣へと戻ることで、
フラッシュバック技法的に何故彼が荒んだ心を持つに
至り、頑なに人付き合いを拒むのか理由が断片的に
語られていくと同時に、親族の一人を喪失したことに
よってある者は茫然自失となり、ある者は情けなく
慌てふためく、誰一人として驚くほど頼りにならない
大人たちの姿がありありと浮き彫りにされていきます。

そこから導き出されるテーマとは「人はいつか死ぬ」
ということ、更に加えるならば「老いも若きも関係なく、
病や事故によって死は誰しも平等に、ある日突然
やってくる」という純然たる事実にすぎませんが、
そんな覚悟などできるはずがなければ、いみじくも
忌まわしいはずの過去の因縁へすがりついてしまう
リーの姿へ観客がシンパシーを感じてしまうからこそ、
所謂「終活」を進めることが如何に困難かを我々も
改めて思い知らされ、背後から着実に忍び寄る
得体の知れない存在へ戦慄させられてしまうのです。

そうこうしているうちに作品の中心人物となるのは
むしろ甥のパトリックであり、父親の死に心を痛め
つつも気丈に振る舞って減らず口を叩き、恋に
スポーツに打ち込み人並みの青春を謳歌しようと
努めるティーンエイジャーな彼が、人生に立ち向かう
べき動機、或いはそうしなければならない義務と
なって大人たちの双肩へのしかかることとなります。

誰もが過去に傷を負いながら、それでも必死に
前へ進もうともがき始める中、リーはなおもまだ
たった一人成長や変化を拒み続け、そのエゴは
パトリックの進路をも阻害しかけるほどに肥大化
していきますが、その反面で彼自身が犯した
罪が法律的に罰せられることもない上、人から
許しを与えられてしまった自分自身を何よりも
許すことができないばかりに、「優しい世界」に
対してひたすら殺してくれと懇願し続ける彼の
痛みも嫌というほどわかってしまい、下手に
責めることもできないのが本当にもどかしい!

「子供たちに大人がしてやれることとは」という
作品としては傑作「WIN-WIN」が思い浮かび
ますが、現実で人間はそんなドラマティックに
生きることはできないと立ち返った上で、それ
でも最大限の努力をして妥協できる着地点を
模索するしかないというのが本作の孕んだ
教えであり、理想通りに人生のセッティングを
してやれなかったと寂しそうに笑う叔父へ、
僕も叔父さんが期待するような生き方は
してやれないと強がりを返す甥が、それでも
肩を並べて釣りを楽しむことぐらいはできると
示して見せたラストが救いなのではないかなと。

驚くほど何も起こらない、驚くほど地味な展開と
ストーリーなのですが、転じてこれこそが人生
とも言える静謐さや厳格さを湛えた力強い描写に
より、仏教観にも通ずる観念を打ち出した一本。
如何にもアカデミーが好きそうな雰囲気に溢れた
内容で、個人的にはかなり気に入りましたが、
オゥどいつもこいつもめそめそしくさってしっかり
せんかーい!とか言ってブチキレる人も結構
いそうだし、なかなか気軽にオススメもできない…
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アメリカ人を殺せるのはアメリカ人だけだ!

新作レンタル「デス・レース2050」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品をレビューします!

2050年、アメリカは企業連合体が支配していた。
機械に雇用を奪われ堕落し退廃の極みと化した
国民の興味はただ一つ、年に一度開催される
エクストリーム殺人スポーツ「デス・レース」のみ。
今年も五組のレーサーが揃い、闘いの火蓋が
切られるのだった…というのがあらすじ。

「B級の帝王」とも呼ばれるロジャー・コーマン
プロデュース、奇才ポール・バーテル監督に
よって撮られた、今なお語り継がれるカルト
映画の金字塔的作品「デス・レース2000」。
ジェイソン・ステイサム主演で絶妙にマイルドな
マリオカート感を伴ってリメイクされたり、
ステイサム抜きで続編が製作されたりも
しましたが、今回はなんと!コーマン自身が
再びプロデューサーの座に就き、オリジナル
作品の正式な続編を立ち上げました!

リメイクのマリオカートから立ち返り、今回は
オリジナルルールに則って全米を横断しながら
人を轢き殺してポイント稼ぎ、老人や子供ほど
得点が高いという重要な要素を引き継いで、
お馴染み(?)皆のヒーロー・フランケン
シュタインを筆頭に、遺伝子操作によって
生み出された筋肉バカのパーフェクタス、
カルトの女教祖タミー、漢気溢れる歌姫
ミネルヴァ、人工知能のエイブという
画期的に個性的な五組のレーサーが
素敵なデス・カーで狂宴へと臨みます。

「トランプの髪型を真似た」という”会長”を
演じるマルコム・マクダウェルが、コミカル
かつ妙に嫌なリアリティを纏ったキャラで
インパクトを放ちまくり他の登場人物を
食い荒らしてしまう出だしから不穏な空気を
感じ取れ、実際問題中盤までは凡庸な
演出、オリジナルの焼き直しが散見され
「これはひょっとしてやっちゃいけない
タイプの駄作なのではないか?」と終始
額に冷や汗を浮かばされ続けます。

まず結論から言ってしまうと、オリジナルを
意識しすぎて枷になっているところが本作の
非常に惜しい部分で、オリジナリティを発揮
する要所要所はすげえ面白く、そこはもっと
Z級作品だと開き直り、過去を切り捨てて
はっちゃけても良かったと思うんですよね…

今回の正体は髭面のむさ苦しいオッサンな
フランケンが単なる小動物好きのオッサン
だったり、突然知的キャラアピールを始める
ミネルヴァや性同一性障害を心に秘める
パーフェクタス、人工知能である自らの
存在に疑問や矛盾を抱くエイブといった、
殺人レーサーたちの繊細な一面が物語へ
きちんと深みやシンパシーを与えている
のは確かだし(そんな中タミー一人は
徹底してキチガイなのも面白い)、ある
程度ストーリーが進行していくと脇の
キャラはまとめて処理される雑な展開、
風雲たけし城並のバラエティ番組感溢れる
レジスタンスとのラストバトル、一生懸命な
気持ちはひたすら伝わってくるガキの喧嘩
かよってパーフェクタスとの一騎討ちからは
「そうそうこういうのでいいんだよこういう
のが俺は観たかったんだよ」と、牛丼を
食っているような安心感で満たされます。

「人間の本質とは暴力である」という、
「デス・レース2000」が持っていた本来の
テーマを体現した上で「いやでもそういう
ことじゃねえだろ!」と突っ込み甲斐が
あるどっちらけのラストシーンも好感が
持てましたし、ポール・バーテルとはまた
違った天然な資質を感じますので、監督は
自分の領域を活かし勝負して欲しかった…

オリジナル信者としてはステイサムのリメイクが
「なんかこれ違う…」とすげえモヤモヤして
いたので、その意味ではロジャー・コーマン
自らが続編を製作してきちんと供養してやった
ってことならこんなもんでもいいんじゃねえかな
という気もするし、トータルすれば私は満足です。
あっでも間が持たなくなったらおっぱいを出す
という鉄則を踏まなかったのは許されざるよ!
そういやなんかリメイクの時もおっぱい出ない
って理由ですげぇキレてた記憶があるわ俺!

過ちは決まって正しい時に起きる

新作レンタル「ドラゴン×マッハ!」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品をレビューします!

潜入捜査官のチーキットはその最中で薬物中毒に
侵されながらも、同じく刑事である叔父と共に臓器
闇マーケットを追い、尻尾を掴むことに成功する。
ところがあと一歩というところで身バレしてしまい、
チーキットはビジネスを仕切るボス、通称”所長”
の手によってタイの刑務所へ入れられてしまう。
一方、そこで真面目な看守として働くチャイには、
白血病で余命半年を言い渡された娘がいた。
ドナーを探し駆けずり回るうち、やがて彼は所長の
裏の顔を知ってしまう…というのがあらすじ。

邦題は非常にたわけた実に恥ずかしい改変を
与えられてしまいましたが、本作はドニー・
イェンとサモハン・キンポー、サイモン・ヤムが
共演し、電光石火のアクションと怪演が光った
傑作「SPL/狼よ静かに死ね」の続編を謳って
おりまして、前作監督ウィルソン・イップの弟子に
あたるソイ・チェンがメガホンを取り、主演には
香港スターのウー・ジン、マックス・チャンに加え、
かつて一世を風靡したタイのアクションスター、
トニー・ジャーをも迎えた意欲作となっています。

特筆すべきはそのスクリプトのラインにあって、
登場人物、背景、世界観その全てが異なって
いながら、正統な「SPL」の血を引いていると
魂で理解できるロジックや熱さを秘めています。
ダブル主人公としてキャスティングされたチャイと
チーキット、二人は看守と刑事というそれぞれが
法の側に置かれた人間でありながら、同時に
プライベートで問題を抱えており、それ故に
”正義”の在り方や、それを如何に、どんな形で
執行するのが正しいのかと悩まされ、自らを
置いた土台を常に激しく揺さぶられ続けます。

前作ではラスボス枠だった悪のサモハンが
悪逆非道の反面子煩悩だったことに対し、
今回は正体不明感の趣が強い二人の巨悪、
”所長”とその上司にあたる富豪・ホンに、
一見一理あるように思える言い分を用意
しているのが面白いところで、「怠惰な生を
無為に浪費する奴らを利用して何が悪い」
とふんぞり返る彼らの態度にはかえって納得
させられかけ、観客の倫理観が揺るぎます。

しかし、それはあくまで搾取する強者の
立場だから発せられる言葉だということも
明らかであり、虐げられる弱者の側にいる
チャイやチーキット、そして彼らを取り巻く
人々の凄惨な姿が浮き彫りにされていく
うちに、結果としてどちらにシンパシーを
抱くのかもまた明白で、観客のそんな心の
動きを察知するかのように大きなカタルシス
へと繋げる繊細な動作も評価に値します。

前作に引き続き、「子どもたちが笑顔で
暮らせるより善き世界を創る」という、
青臭いテーマがきちんと根付いているのも
素晴らしく、善悪の境界線が限りなく曖昧な
暗闇の中、地獄の亡者のように男たちが
もがくことも、少なくとも過去よりはマシな
世の中を構築するための原動力になって
いて、受け継がれていく「希望」の色をより
明確にした救いあるラストも好感が持てます。

複雑な人間ドラマこそが本命ですがウリである
アクションも見応えバッチリ、序盤で始めて
相まみえるチャイとチーキットの閉所戦では、
環境利用闘法を活かしつつも中国拳法と
ムエタイの見事な融合を果たし、温故知新と
同時にアジアン・アクションの新規開拓を
目指した意気込みをビンビン感じられ、
中盤の刑務所暴動シーンでは緊張感と
裏腹にスマホの電波を探してひたすら
ウロウロするチーキットを鬼ゴッコする
チャイというちょっとしたお笑い要素や、
所長のあまりにエレガントすぎる所作を
拝むことができるゴッタ煮具合にお腹一杯。
最大の見せ場である2対1の変則ラスト
バトルに関しては、カット割が多すぎて消化
不良かな…という気もちょっとないわけでも
ないんですが、格闘アクションの新たな比較
基準として挙がる「ザ・レイド」、その中でも
特にマッドドッグ戦は歴史に残る一線を
画した出色の出来だからこそ、そこは
一旦置いて自分の中でハードルを上げ
すぎるのはよくないと思い始めてきたり…
「SPL」リスペクト溢れるクライマックスの
演出に関しては、伏線やギャグ要素まで
含めた練度の高さで大変満足できました。

本作の中でもさらっとオマージュされている
「男たちの挽歌(A better tomorrow)」
が、人物や舞台を変えても「挽歌」には
違いないように、「希望の糸を紡ぐ」
という見えざる存在や行為によって奇妙な
コンテュイニティを確立し「SPL」シリーズ
としての矜持を見せつけた珠玉の一本。
前作・本作と合わせての鑑賞がオススメ!

人は生き方を変えられない

新作映画「ローガン」をようやく鑑賞できましたので、
本日はこの作品をレビューしたいと思います!

西暦2029年、ミュータントは絶滅の危機にあった。
かつてはウルヴァリンとも呼ばれたヒーロー・
ローガンは最早ヒーリングファクターが衰え
全身にガタが来ており、今や単なるハイヤーの
運転手へと身をやつし、老齢から能力の制御が
利かなくなりつつある危険な暴走老人、チャールズ
を匿いながらその日暮らしを続けていた。
そんなある時、彼はガブリエラと名乗る女性から
一人の少女を保護して欲しいと訴えられる。
既に世捨て人となったローガンはその願いを
反故にするも、彼と少女を繋ぐ一つの縁が彼を
再び争乱へと巻き込んでいく…というあらすじ。

古くは実写版「X-MEN」無印からデビューを
果たし、17年の長きに亘り一貫しウルヴァリン役
として作品に寄り添ってきたヒュー・ジャックマン。
その彼が様々な理由を考慮した結果、ファンから
惜しまれつつ、そして何より誰よりも自らが惜しみ
つつも引退を表明した最終作が本作となります。

監督は「3時10分、決断のとき」で上質な西部劇を
演出してみせたジェームズ・マンゴールドであり、
彼の持つ作家性と本作の持つポスト・アポカリプ
ティックな錆びた世界観の親和性が素晴らしい!

大企業が国家を牛耳り、政府という言葉自体が
もう影も感じられない近未来という時代設定や、
搾取や紛争が原因と思われる環境破壊によって
荒廃したメキシコ国境沿いが舞台というのが、
今の世にあっては何とも妙に嫌なリアリティを
賦与しているところから始まり、数人のチンピラ
にも苦戦しヒーロー活動どころかその日の飯代
にすら困窮しているアル中おじさんのローガンが、
ボケの進行したチャールズを老老介護する
どん底の現場をまずは延々見せられるこの映画。

これがあまりにねちっこいので、冒頭30分から
高いびきかいて寝てるおっさんが会場にいたのが
駄目な意味ですごく記憶に残っていますが、
原案であるマーク・ミラー作の「オールドマン・
ローガン」が持っていた「ヒーローとポスト・
アポカリプスとロード・ムービーが恋をした」
とでも言うべきエッセンスを、実写映画において
クソ真面目に向き合ったことがまず大きな評価!

壊れゆく世界に生きる、市井の人々の心が
少しずつ狂気に蝕まれている過程を断片的、
なおかつ丁寧に描写することで魅力的な背景を
紡ぎあげた上で、少ないながらも印象的な
会話と台詞によって、最も重要な問題である
「何故ローガンがヒーローであることを諦め、
人を愛することを辞めてしまったのか」の
情報を小出しにして没入感を高めていきます。

作品の転換及び絶望感の演出においては、
当然彼らに与えられるおおきなきっかけとして
登場する謎の少女・ローラの存在がかかせず、
彼女の新たな側面が書き加えられる度に
物語も一層の深みが連なっていくこととなる
わけですが、まだ十代かも怪しい彼女の年齢
とは相反した、あまりに鮮烈でえげつない
暴力描写も本作ではキーとなっています。

幼い娘が獣性を剥き出しにして大の男の首を
跳ね、それを捉えようと射出した銛が容赦なく
少女の胸を貫く…「ここまでやる必要が本当に
あったのか!?」と思えるゴア描写ですがその
意味で言えばイエスであり、常識と呼ばれる物が
欠落した倫理観、この世とは異なる地獄の釜の
底を覗いているような世紀末観を表現する上で
これはなくてはならなかった要素のように思え
ますし、視覚的以上に精神的な痛々しさを
湛えた展開は、「こんな形では誰も望んで
いなかった、最も哀しいヒーローの再起」の
シーンで最高潮の慟哭を迎えることとなります。

然して道半ばに斃れたローガンと、遺された
ミュータントたちは今後も迫害の憂き目に
遭う予想が難くないラストは、俯瞰こそすれば
救いようのない結果とも取れますが、最期の
最期になってようやく「ヒーローの希望」を与え
「家族の絆」を得ることができたローガンは
少なくとも幸せの最中に逝くことができたとも
考えることができ、それはローラが最後に
見せた憎い演出で否応無しに説得力を高めて
くるのが卑怯ならば、加えて本作のタイトルが
何故「ローガン」なのかと問われた時、それは
彼がウルヴァリンというコスチュームやヒーロー
ネームを纏うまでもなく、彼の存在そのものが
ヒーローだったという解釈にも繋がるわけで、
これだけトチ狂った世界観でありながらも
スーパーヒーロー映画としての根底をきっちり
見せられしばらく涙が止まりませんでした…

余談ですが、映画にしろ原案の漫画にしろ
巷では「『ダークナイト・リターンズ』の
再来」などと言われているものの、映画でも
時折使われていたフレーズに倣い、個人的
には「キングダム・カム」の方がより近い
感触だと思っているのですがどうでしょう。
ヒーローもヴィランも善悪も境界が曖昧な
近未来の世界で、古い価値観を持った
老兵が世界に”正義”をもたらす…まあ
こう書くと「DKR」も「キンカム」も実際
テーマとして相当共通していますけど。

実のこと言ってしまうと、事前に読んでいた
「オールドマン・ローガン」が面白すぎて
これをそのまま実写化したものが観てみたい
とか余計なこと考えてしまったり、「ヒーロー
としての本質と使命」そして「家族愛」が
テーマの映画だったら「鋼鉄ジーグ」も
相当練度高くてこっちの方が好きかな~とか
言ってしまえるところもあったりと、何か変な
外的要因が挟まるタイミングではありましたが、
ヒュー・ジャックマンが有終の美を飾るに
相応しい出来になっている作品には違いない
ということで、文句なしにオススメの一本です!

雨は、嫌いだ。

新作レンタル「HiGH & LOW THE RED RAIN」を
鑑賞しましたので、本日はこの作品をレビューします!

最強の兄弟としてその道で広く知られる「雨宮兄弟」。
次男・雅貴と三男・広斗はある日突然行方不明に
なった長男・尊龍の手がかりを求め旅を続けていた。
そして三兄弟が決まって集まることがルールだった
両親の命日、4月1日の墓参りにも兄の姿はなし。
その代わりに現れた謎の少女・愛華は尊龍の名を
知っており、二人は兄の居場所を問いただそうと
するも、次の瞬間彼女の命を狙う多数のヤクザが
立ちはだかり…というのがおおまかなあらすじ。

ご存知EXILEのHIRO氏が脳内に抱えた広大・
膨大なヤンキー世界を具現化した「HiGH & LOW」
シリーズに登場する「雨宮兄弟」のスピンオフ
作品であるこの映画は、本編では最強チーム
「MUGEN」とたった二人で互角に渡り歩いた
「あの雨宮兄弟」という扱い以上の情報には
乏しかった彼らに、実はもっと強い長男がいた
という前提の上で、彼らに秘められた複雑かつ
哀しき過去を紐解いていく内容となっています。

冒頭突如始まるバイクチェイス、そうかと思えば
国籍不明ギャング団との肉弾戦を繰り広げ、
一体何事かと呆気に取られていると、どうやら
過去の雨宮兄弟は兄の尊龍を含めた三人で
共に運び屋稼業を営んでいたとの設定描写
らしく、必要なのはそこだけで後はノイズだと
言わんばかりに依頼主や敵対組織の背景の
一切は不明という思い切りの良さには「これは
こういう作品でいいんだ」と早速IQが下がります。

とは言え「カッコ良ければそれでいいんだよ」
というスタイルだけをひたすらゴリ押したい
天然体質なのかそれとも脚本の練度が根本の
方からスッポ抜けてるのか判断に困る情報の
欠落具合が(元々ハイローシリーズでは顕著
だったとは言え)今回は結構深刻なレベルで、
よくわからないままコロコロ状況を変えていく
序盤で戸惑う上に、兄貴の尊龍が基本的に
寡黙で何を考えているかわからないくせして
口を開けばスーパーポエムタイム、加えて
作中時間の半分以上が行方不明という、
混乱へ拍車をかける困った存在なのです…

ただ、臭い台詞回しを含めて作品の展開は
予想の範疇を出ないこと、そして「悪いこと
してる奴は大体九龍」というハイロー安定・
安心の不文律が作品をまだギリギリの
バランスで押しとどめているので、言うほど
振り落とされるわけでもなければエンタメに
気を使った楽しめる内容であるのも確か。

前回の「THE MOVIE」でSWORD各勢力及び
元MUGENの琥珀さんと九十九さん、それぞれ
群れはしないけれども九龍こそが共通の敵
という方向性が定まり、今回は雨宮兄弟も
流れに加わる動機付けがされたことで、
作品そのものや世界観を俯瞰するとファンに
とっては滅茶苦茶盛り上がる展開になって
いると思うのですが、本作はそうしたお膳
立てのための中間地点感覚が強いです。

「二人で出鱈目に強いのに三人揃ったら
一体どうなってしまうんだ…」という話を
期待していたら兄貴は設定の領域を出ず
きっかけに過ぎなかったのがまず残念なら、
「男たちの挽歌」に端を発するノワールの
クリシェまみれで前回ほどの勢いや熱量、
オリジナリティもあまり感じられませんでした。
ワイルドカードである愛華が殆ど三兄弟の
キャラを立てる舞台装置でしかないのは割と
わかってたことでこれは別にいいんですけど、
でもやっぱり「ハイローで本筋に女入れるのは
余計だな」とかどうしても男根主義に走ってしまう!

色々目につく粗やケチつけたくなる部分は
少なくないんですけど、最後の最後で入って
くる「フジョシの皆様お待たせしました」案件な
ホモ演出に代表されるキャラ萌え作品として
見れば楽しいしそれがハイロー本来の作品の
立ち位置と魅力だと思うし、やっぱり出てくる
「あの人」の存在がSWORD地区一層の波乱を
期待させ、なんだかんだでまだシリーズを追って
いきたくなるだけの燃料は追加され続けていて、
またそれを燃やすだけの火種も自分の中にある
ことを改めて実感できた作品ではありました。
プロフィール

T-ZOK@シュガーラッシュおじさん

Author:T-ZOK@シュガーラッシュおじさん
新作映画・新作レンタル作品のレビューを主に行います。
旧跡地「はきだめの犬のはきだめ」

Amazonではアメコミを中心にしたレビューを載せてもらっています。

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